オンラインで連絡を取る手段が増えたとはいえ、人と話をするということがなくなるわけではありません。
むしろ、気軽にオンラインで繋がれる今の方が、初対面の人と出会う機会が増えたと感じます。
プロのライターというのは、書く力はもちろん優れているのですが、インタビューを通して培ってきた経験から、人の話を聞くことも優れているのです。
取材対象者から、いかに良い話を聞けるか、引き出せるかで、書く文章が9割決まってしまうと言われるほど。
これまで、市井の人から大企業の社長などあらゆる人々を1,500人以上インタビューされてきた江角悠子さん。
インタビュー歴16年のベテランライター、江角さんにお話を伺いました。
初対面の人に話をするときに、心掛けていることはなんですか?
「笑顔」です。
相手の方に緊張させないよう配慮しながら、穏やかな雰囲気でなるべく自分から話し掛けるようにしています。
テンション高めに、明るく積極的に話をするようにしています。
話が継続する秘訣はなんですか?
相手の方が答えてくださったことに対して、質問をすることです。
無理に話を広げるわけではなくて、素直に疑問に思ったことや、わからなかったこと、気になることを聞くんです。すると、会話が途切れることなく広がっていきます。
とはいえ、会話が途切れても、沈黙があっても私は良いと思っています。
魅力的な話をしてもらえる人というのは、どのような人だと思いますか?
「自分に興味を持ってくれている」と思わせてくれる人です。
前もって下調べをして質問を考えてきてくださったり、さりげない質問に対して、
”興味を持っていますよ”という気持ちを乗せて伝えてくる人。
そういう人にはお話をしたくなるものですし、純粋に嬉しいですよね!
人見知りの人が緊張しないで話をするためには、どうすれば良いでしょうか?
お話を伺う時に、緊張はしますよね。それはもうしょうがないです(笑)
でも、緊張って悪いものではないんです。今でも私も緊張します。
直接、「緊張しています」とお伝えするのもアイスブレイクになって、一つの方法として良いかもしれませんね。
感じたこと、良いなと思うことをお伝えして、場を和ませると程良く緊張もとける気がします。
これはNGだな、と思う話の聞き方はありますか?
自分の話ばかりする人は間違いなくNGですね。
基本的にビジネスだと、相手の方は話を聞いてくださいます。だからといって、調子に乗って自分の話ばかりしてしまう人はダメです。
話が盛り上がるときほど、その傾向が強くなるので要注意です!
また、短い相槌など自分の感想ということでも、相手を否定するような内容の感想は気分を害してしまうので、十分に気をつけましょう。
もうこれ以上、話が出てこない!そんな時はどう対処すれば良いでしょうか?
お話を聞いていると、どんな人にも魅力的な部分が必ず出てくるんです。
話を聞くときに「何か良いところがないか見つけよう」と思って話を聞いているからなのかもしれませんが、例外なくどんな人にも必ず魅力があるので、その部分を発掘するような気持ちでいつもお話を聞かせてもらっています。
人と話をするために学べるオススメの書籍があれば教えてください。
私は取材の仕事を始める時に誰かに教えていただいたわけではないんです。一度、編集さんに付き添ってもらっただけで、あとは完全に独学です。
取材の仕事を始めてから10年経った時、上阪徹さんの『「聞き方」を変えればあなたの仕事はうまくいく』を読みました。
すると、これまでに自分が実践してきたことが本に書いてあって、自分のやってきたことが答え合わせのようになって嬉しかったです。
古宮昇さんの『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』も大変参考になりましたので、この2冊はオススメ書籍として、あわせて読んでいただけたらと思います。
これまで1,500人以上を取材されて、学んだことを教えてください。
本当にこれまでたくさんの人にお会いしてきましたが、良い意味で人というのが怖く感じなくなりました。
いろんな人がいるということが、実際に肌で感じてわかったし、合う人・合わない人がいるということがわかったことが大きな学びになりました。
人に好かれたいと思うのって普通ですよね。
私もそう思って生きてきたのですが、どう頑張っても絶対に好かれない人がいることもわかり、本当に楽に生きられるようになりました。
それから、淡々とフラットにお話が聞けるようになりました。
たくさんの人に話を聞かせていただいたおかげだと思っています。
いかがでしたか?
仕事として日々、人を接する方でも、オンラインで話をするだけの方でも、どのような人にも活かせる内容をお話していただきました。
江角さんご自身が、たくさんの人を取材されてきたことで、誰でも思いがちな「他人から好かれたい」と思う気持ちや承認欲求などがなくなって、諦める(仏教用語で、明らかにする)ことができたのだと思います。
その境地に達すると、確かに力んだりもせずに人の話が聞けそうですよね。
いまだに、江角さんでも緊張するということなので、どんな人でもきっと緊張するのだと思います。
「緊張が悪いことではない」というのも励みになりますね。
NGな話の聞き方なども、ついついやってしまいそうになる部分なので、8つのコツを読み返して取り入れてみてくださいね。
今日からあなたも、人の話を引き出せる人になりましょう!